第318号 2005/12/06 証聖者聖ニコラオの祝日
アヴェ・マリア!
愛する兄弟姉妹の皆様、
こんにちは!お元気ですか。
明日は、聖母マリアの無原罪の御宿りの祝日の前日ですね。聖ピオ十世会では会則によって、明日は大斎と小斎を守る日です。兄弟姉妹の皆様ももしよろしかったら、どうぞ! 聖母の祝日をより良く迎えるための準備としてご招待いたします。
聖ピオ十世会アジア管区のニュースレターが発行されたそうです。すべてが順調にいけば、12月の聖伝のミサの時に、兄弟姉妹の皆様に配布できると思います。
来年の聖伝のミサのスケジュールですが、2月にはシンガポールの修道院長のダヴィデ・パリャラーニ神父様が、3月には現在オーストラリア管区の管区長であり、依然20年以上にもわたって英国管区長であったベテラン司祭であるブラック神父様を日本にお迎えすることができそうです。天主に感謝!
私は、是非多くのしかもさまざまな神父様たちに来日して頂いて、その広がりと豊かさを知って頂きたいと思っております。何故なら、日本は残念ながら、ヨーロッパやアメリカなどの聖伝の動きから取り残されてしまってきたからです。
さて、愛する兄弟姉妹の皆様、そしてこれから婚姻の秘蹟によって結ばれようと準備をしている兄弟姉妹よ、私たちは、「カトリック家族とその敵について」の続きを黙想しましょう。
今回は (22)カトリック家族の敵: 酒酔い (その5 酩酊は家庭に反する罪) をお届けします。ごゆっくりどうぞ。
聖母の汚れ無き御心よ、日本のために祈り給え!
天主様の祝福が豊かにありますように!
トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)
カトリック家族とその敵について
----- これから婚姻の秘蹟によって
結ばれようとする兄弟姉妹に -----
(22)カトリック家族の敵: 酒酔い
(その5 酩酊は家庭に反する罪)
◆酩酊は家庭に反する罪である
最後に、酩酊がどれほど家庭に反する罪であるかを見てみよう。聖パウロは「自分の家庭を蔑ろにするものは、異教徒よりも悪い、これは自分の信仰を否んだ者だ」と言っている。
私たちは隣人を愛さねばならない。私たちの隣人は、イスラム教徒、仏教徒、異教徒であるかもしれない。しかし私たちは彼らを愛さねばならない。もしも彼らに不幸が起きたら私たちは遺憾に思うべきだ。私たちは全ての人々にいくらかの愛を負っているからだ。
ただし私たちが隣人を愛さなければならないその愛には、その多少がある。つまり人間はキリスト教的な愛徳をもって全ての人々を愛さなければならない。しかし、中には愛するのみならず、尊敬し援助する特別な義務を払うべき個人もいる。それは誰だろうか? 私たちを生んでくださった父母である。その若き心と美をくれた妻である。天主が授けてくれた子供たちである。
この天主の下さった宝物、贈物、つまり家族は、私たちの愛をまず要求する。家族、妻と子供たちは、私たちがキリスト者として全ての人々に分配すべき愛を、最も凝縮させた愛徳を私たちに最も強く要求する正当性を持っている。この点においてだけであっても、酒飲みは野生の動物以下の振る舞いを見せている。
女性は、まだ若々しく、慎ましく、純粋で、美しさに輝いている時、その乙女の手を、天主の祭壇の前で、将来夫となる男の手に合わせた。そして彼女の若い麗しい心と愛を彼に捧げると天主の前に誓った。彼女は彼に信頼し、彼を永久に夫として受けた。彼女は、彼女が常に持っていたこの世での幸福と平和と喜びのすべての夢を彼と共に結び合わせるという、言うならば、愚かな信頼を持ったのだ。婚姻の荘厳な時、彼女は彼に言った。「天主の次に、そして天主の後で、私はあなたを私の心の中に入るのを許します。そして私はあなたを、あなただけを愛します。」それから天主の祭壇の御前で、彼女はこの純潔な愛の上に秘蹟の聖寵の印を受けた。これが妻だ。そしてこの妻と、妻の産んだ子供たち、つまり自分の子供たちに対して、酒飲みは夫としてまた父親としての義務を果たすことが出来ない。
酒飲みに一体全体、どうやってそれができるのか?
この酒飲みは夫だ。彼の妻は空腹でぼろを着ている。彼は妻を最も下等な奴隷であるかのようにあしらう。
この酒飲みは父親だ。彼の子らを見よ。子供たちは寒さに凍え、お腹をすかして食べ物が欲しいと叫んでいる。しかし彼は自分の持っていた最後の10円まで酒場で使い果たして飲んでしまう。たった今、万引きの罪で捕まった子供は、誰の子だ? あの子は酒飲みの子だ。可哀想な子供! 誠実だったならすくない金でもこの子を充分食べさせてやることができただろうに、人でなしの父親は、その僅かな金をみな酒につぎ込んでいる。あの子は空かした腹を満たすために盗みをはたらかざるを得なかった。彼の息子、娘は、年端もいかない頃から酒を飲むことを教えられ、宗教のことも教えられず、悪い手本によって道徳心を全く失ってしまっている。子供の時から、彼らは酒場に行く道を覚え、恥ずかしい罪への道を教えられた。彼らは自分の両親から、酒を飲むこと、天主を呪うこと、悪い言葉を吐くことを教わった。そして今、大きくなって、彼らは自分の両親を罵っている。自分を産んでくれた両親を打つために彼らは罪の手を上げる。そして天主の恐るべき呪いを自分の上に呼び下している。
あのなりふり構わぬ、だらしのない、汚らしい、むくんだ顔をしている女性はだれだ? あれは酒飲みの妻だ。彼女の夫はおそらく、彼女の飲み代を稼ぐために遠くで働いているのだろう。彼は額に汗して厳しい労働をして得たその代価の給料を彼女に仕送りしている。厳しい労働で稼いだ給料も、ただ自分の家庭を崩壊させ、妻を酒に溺れさせているだけだとは、彼は夢にも思っていない。
ドミニコ会司祭のT バーク神父様は、次のような実話を語ってくれた。神父の話を聞こう。
「何年か前に英国のある工場都市に、四旬節の説教に行きました。私はそこで毎晩説教をしていました。すると酩酊についての説教をしたその夜、ある男が私のところにやってきました。彼は私のところにやってきて、はい、彼は背が高くて大柄で、健康そうなでしたし、知的な外見をした、良さそうな人でした。でも彼の目つきは焼け尽きたようでガラスのようでした。額には年の割にはしわがたくさんよっていました。髪は、若く見えたのに、白髪が多くありました。彼の服はよれよれでした。夜露にぬれているというのに、足には靴を履いていませんでした。
彼は説教の後で興奮して私のいる部屋に入ってきました。しかしその興奮には酒酔いの何かがありました。それから彼は自分の身のうち話をしてくれました。
『私になにか希望があるのか私には分かりません。でもお説教を聞いていて、神父様にお話ししなければならないと思います。もし誰かにこれを打ち明けないと、今晩にでもこの心は壊れてしまいそうです。』
彼の話とは、何だったかですって? 5年前に彼は2万ポンド貿易で利益を得たそうです。アメリカのお金で10万ドルです。彼はアイルランドの女性と結婚していました。妻は自分と同じアイルランド人でカトリックで、若く美しく洗練された女性でした。彼には2人の息子と1人の娘、そして妻がいました。彼が私に言うには、しばらくの間すべては順調にうまくいっていた、とのことです。彼は言い続けました。
『ついに、不幸にして私は酒を飲む癖を付けました。私は仕事を疎かにし、仕事は私を疎かにし始めました。妻は貧困が迫ってくるのを感じ、やきもきし出しました。そして妻は健康を損ねました。ついに、私たちは貧困のどん底に陥り、妻は病に倒れ、亡くなりました。妻が死んだその当日も、私は酔っぱらっていました。』
私は彼に尋ねました。
『では息子たちは、彼らは一体どうなったのですか?』
彼は答えました。
『えーと、息子たちはまだ子供でした。長男は18才で、それで兄弟そろって強盗の罪で捕まり、オーストラリアに流刑となりました。』
『では娘は?』
『うーん、私は娘を学校にやりました。学校であの子は良い教育を受けました。あの子が16才だった時、寄宿舎から家に帰ってきました。本当にきれいで美しい若い女性に成長していました。あの子だけが私の慰めでした。でも、その時もずっと、私は酔っぱらっていました。』
『すると、彼女はどうなったのですか?』
彼は私を見つめました。
『神父様は、あの子のことを私にお尋ねなのですか? あの子がどうなったかって?』
その時、この男は銃に打たれたかのように、手で頭を抱えてしゃがみ込みこう言いました。
『何と言うことだ! おお! 何と言うことか! 天主よ! おお! 今宵も、あの子は道ばたに立って客を待っている。売春婦として!』
彼は、これを言うや否や、いきなり飛び出して外に出て行ってしまいました。
私は彼の後を追いかけました。
『ああ、ダメだー! もうダメだー! 俺のために天には憐れみなどありはしない! 俺は子供を道に棄てたんだ!』
彼は天主を呪いながら、わめき叫んだあげく、酔っぱらったまま死を迎えました。
彼は、妻を悲しみの内に粉々に砕いて墓に追いやってしまいました。
彼は、自分の息子たちを、その滅びに送りました。
彼は自分に残った唯一の娘を、生き地獄に送り込んだのです。
そして自分は天主を呪いながら死に絶えました。」
この記事は、
The Sinner's Return To God The Prodigal Son, By: Rev. Michael Mueller, Chapter 2 を参考にしました。
(つづく)
【ノベナへのお誘い】
◎ 11月29日から12月7日までは、聖母マリアの無原罪の御宿りの祝日までのノベナ(九日間の祈り)があります。このノベナに愛する兄弟姉妹の皆様をご招待いたします。
アジア管区では今年は管区長のクチュール神父様のご意向で次のようになります。
(1) 聖母の連祷
(2) 「童貞聖マリアに対する教皇聖ピオ10世の作った祈り」
( 「マニラの eそよ風」212号 をご参照下さい。)
(3)呼祷「原罪なくして宿り給いし聖マリア、*御身に寄りすがる我らのために祈り給え!」(三回繰り返す)
◎ 12月8日の無原罪の御宿りの祝日その日には、
聖母の汚れ無き御心に聖ピオ十世会アジア管区への奉献(奉献文は、次の
「聖ピオ十世司祭兄弟会を童貞マリアとその悲しみに満ちた汚れ無き御心に奉献する祈り」 の中の「聖ピオ十世会」を「聖ピオ十世会アジア管区」に代える)を更新します。