マニラのeそよ風

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第323号 2005/12/23

ベネディクト16世
ベネディクト16世

アヴェ・マリア!

 愛する兄弟姉妹の皆様、
 お元気ですか。あさってはもう私たちの主イエズス・キリストの御降誕ですね。

 12月の聖伝のミサの時には、兄弟姉妹の皆様に会えて大変幸福でした。聖伝のミサで会え、また少なくともお電話で、お元気そうな姿を拝見し、お声を聞き、天主に感謝します。

 兄弟姉妹の皆様とお会いして、特にズキンと胸に来たことがあります。実は「マニラの eそよ風」にどんな記事を書いたらいいか、何か私が答えるべき多くの人が知りたがっている疑問があるのではないか、と思って、こう尋ねました。「何か私に出来ることがあるでしょうか? 私がどんなことをすれば良いと思いますか」と。尋ねたあとのお返事はこうでした。「日本に常駐して下さい。」

 こちらソウルでは、今朝は白いものがパラパラ降っていましたが、今ではとても良い天気です。今回は、いくつかニュースをお届けします。


◎ ベネディクト16世と「ハリー・ポッター」

 ベネディクト16世教皇様は、「ハリー・ポッター」についてどのようにお考えでしょうか?

 まだ信仰教理聖省長官であった2003年3月7日、(マスメディアが誤ってヨハネ・パウロ2世が「ハリー・ポッター」を認めると報道した1ヶ月後)、ドイツ人女性ガブリエレ・クビ(Gabriele Kuby)に、自分が彼女の主張に同意すると手紙を送りました。

 その手紙の中で、彼女の著書「ハリー・ポッター 善か悪か Harry Potter - gut oder bose 」を感謝し、こう書いています。

 「あなたがハリー・ポッターについて人々を照らしてくれたのは、良いことです。何故ならこれは巧妙な誘惑であり、知られないように働き、そしてこれにより、霊魂が適切に育つ前に霊魂において深くキリスト教性を歪めるからです。」


Sehr geehrte, liebe Frau Kuby!

Vielen Dank fur Ihren freundlichen Brief vom 20. Februar und fur das lehrreiche Buch, das Sie beigelegt haben. Es ist gut, dass Sie in Sachen Harry Potter aufklaren, denn dies sind subtile Verfuhrungen, die unmerklich und gerade dadurch tief wirken und das Christentum in der Seele zersetzen, ehe es uberhaupt recht wachsen konnte.

Ich mochte Ihnen vorschlagen, Herrn Peter Fleetwood (Pontificio Consiglio per la Cultura, Piazza S. Calisto 16, 1-00153 Roma) direkt zu schreiben und ihm Ihr Buch zuzusenden.

Herzliche Gruse und Segenswunsche
Ihr
+ Joseph Kardinal Ratzinger


 そして2003年5月27日付のやはりクビ女史への手紙において、ラッツィンガー枢機卿は、「ハリー・ポッターに関する自分の判断」を公表することを「喜んで」許可しています。
外国語サイト リンク Pope Opposes Harry Potter Novels - Signed Letters from Cardinal Ratzinger Now Online


Sehr geehrte, liebe Frau Kuby!

Irgendwie ist ihr Brief in der Masse der Namenstags-, Geburtstags- und Osterpost untergegangen. Endlich ist dieser Stapel abgetragen, so das ich Ihnen gern gestatten kann, sich auf mein Urteil uber Harry Potter zu berufen.

Herzliche Gruse und Segenswunsche
Ihr
+ Joseph Kardinal Ratzinger


 これは、ローマの有名な跋魔師であるガブリエル・アモルト師の判断とも一致しています。師曰く「ハリー・ポッターの後ろに、暗闇の王すなわち悪魔の署名が隠れている。」
外国語サイト リンク ROME'S CHIEF EXCORCIST WARNS PARENTS AGAINST HARRY POTTER

 ベネディクト16世が同意したそのハリー・ポッターに反対する十の理由は次の通りです。
(英語訳は次をご覧下さい 外国語サイト リンク Ten Arguments Against Harry Potter - By Woman Who Corresponded with Cardinal Ratzinger


ハリー・ポッターに反対する十の理由

一.ハリー・ポッターは、文化を変えようとする長期的世界計画の一つである。若い世代は魔術やオカルトに対して嫌悪感を持たないようになってしまった。キリスト教が消滅させたものが再び社会に入ってきた。

二.ホグワーツ魔法魔術学校は、暴力と恐怖の、呪いと魔術の、人種差別イデオロギーの、流血のいけにえと嫌悪と強迫観念の閉じられた世界である。いつまでも続く威嚇の雰囲気があり、それから青少年読者は逃げられない。

三.ハリー・ポッターは最初は悪と戦うように見えるが、実はハリー・ポッターと、その物語上の敵であり悪の頭ヴォルデモートとの類似性がますます明らかになる。第五巻ではハリーはヴォルデモートによって憑依されるが、パーソナリティー崩壊の症候へと導いている。

四.人間世界は、魔女や魔術師の世界と比べて矮小化されている。

五.そこには肯定的な超越的次元が無い。超自然はすべて悪魔的である。天主的な象徴は邪悪化されている。

六.ハリー・ポッターは現代の童話ではない。童話では魔術師や魔女は悪というものの曖昧な姿である。また童話では英雄は魔術の力を、美徳で避ける。ハリー・ポッターの宇宙では、善を常に達成しようと努力する人物が一人もいない。何故なら、見かけ上は良い目的を悪しき手段によって達成しようとするからだ。

七.(特に若い)読者の、善と悪とを見分ける力は、情緒的操作と知的混乱によって阻止されている。

八.これは若い世代への攻撃であり、彼らを遊びのつもりで魔術と魔法の世界へと誘惑し、悪が支配し悪からは絶対に逃げることの出来ない世界、それどころか悪が極めて望むべきこととして描かれる世界のイメージで若い世代の想像力を満たしている。

九.ハリー・ポッターは商業的プロモーションと巨大なマスメディアの恩恵を受け、青少年が真似したいと思うようにさせている。ここに全体主義的な洗脳の要素がある。

十.ここハリー・ポッターの本によって、多くの若い人々において、偽りの「価値」とユダヤ・キリスト教的な真理の嘲弄を通して人間を愛する天主に対する信仰は組織的に蝕まれ、さらには破壊されている。これは耐え難いことである。信仰と良心の名によって、子供達がそれに染まることの許してはならない。


10 ARGUMENTE GEGEN HARRY POTTER

1. Harry Potter ist ein globales Langzeitprojekt zur Veranderung der Kultur. Die Hemmschwelle gegenuber Magie wird in der jungen Generation zerstort. Damit dringen die Krafte in die Gesellschaft ein, die das Christentum einst uberwunden hat.

2. Hogwarts, die Schule fur Zauberei und Hexerei, ist eine geschlossene Welt der Gewalt und des Grauens, der Verfluchung und der Verhexung, der Rassenideologie und des Blutopfers, des Ekels und der Besessenheit. Es herrscht eine Atmosphare standiger Bedrohung, die sich auf den (jungen) Leser ubertragt.

3. Harry Potter handelt nicht vom Kampf des Guten gegen den Bosen. Von Band zu Band wird Harrys Verwandtschaft mit Voldemort, dem ganz und gar Bosen, deutlicher. Im V. Band wird er selbst von Voldemort besessen, was zur Zerstorung seiner Personlichkeit fuhrt.

4. Die Menschenwelt wird erniedrigt, die Welt der Hexen und Zauberer glorifiziert.

5. Es gibt keine positive transzendente Dimension. Das Ubernaturliche ist ausschlieslich damonisch. Gottliche Symbole werden pervertiert.

6. Harry Potter ist kein modernes Marchen. Im Marchen sind Zauberer und Hexen eindeutig Gestalten des Bosen, aus deren Macht sich der Held durch die Ausubung von Tugenden befreit. Bei Harry Potter gibt es niemanden, der das Gute will.

7. Die Unterscheidungsfahigkeit des Lesers zwischen Gut und Bose wird durch emotionale Manipulation und intellektuelle Verwirrung auser Kraft gesetzt.

8. Es ist ein Vergehen an der jungen Generation, sie spielerisch zur Magie zu verfuhren und ihre Phantasie mit Bildern einer Welt anzufullen, in der das Bose regiert, eine Welt, die nicht nur als ausweglos, sondern als erstrebenswert dargestellt wird.

9. Jeder, dem an Meinungsvielfalt gelegen ist, sollte sich gegen die Massenverblendung und Meinungsdiktatur durch ein gigantisches Multimedia-Unter-nehmen zur Wehr setzen.

10. Da der Glaube an einen liebenden Gott systematisch zerstort wird, ist die schulische Indoktrination mit Harry Potter intolerant und widerspricht dem Geist unserer Verfassung. Die Teilnahme an schulischen Potter-Aktivitaten kann aus Glaubens- und Gewissensgrunden verweigert werden.

外国語サイト リンク Herzlich willkommen auf der Homepage von Gabriele Kuby

ハリー・ポッターに関するその他の英語の記事は次のサイトをどうぞ。
外国語サイト リンク Latest News About the Harry Potter Controversy at LifeSiteNews.com


◎ ベネディクト16世教皇は、新しくアシジの司教としてドメニコ・ソレンティーノ大司教を任命

 11月19日、ベネディクト16世は、「典礼秘蹟聖省」の元秘書であったドメニコ・ソレンティーノ大司教をアシジの司教として任命しました。今年のシノドゥスのあとで、聖伝のミサが解放されなかったのは、このソレンティーノ大司教がアリンゼ枢機卿に秘密のメモを渡したためだと言われています。このメモはイタリアの日刊紙「イル・ジョルナーレ Il Giornale」の10月22日号で明らかにされています。ソレンティーノ大司教がバチカンを離れて単なる司教となったのは、聖伝のミサ妨害の責任をとって左遷させられたという意味があるようです。


◎  グァダルーペの聖母

 1979年5月7日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のメンバーの科学者であるジョディ・ブランド・スミス(Jody Brand Smith)とフィリップ・カラハン(Philip Serna Callahan)は、グァダルーペの聖母の描かれているポンチョには絵の具は見つからないこと、このポンチョが何故かは分からないが、36.6度から37度の人間の体温を保っていることを発表しているそうです。
From "外国語サイト リンク Notre Dame de Guadalupe"
似たような記事は 外国語サイト リンク http://reinadelcielo.org/estructura.asp?intSec=1&intId=42&intIdP=76
(ただし上記のNotre Dame de Guadalupeのサイトでは、ページの最後の段落で、ある婦人科医師が、グァダルーペの聖母の帯のあたりに聴診器をつけると、1分あたり115から120回の心臓の鼓動の音が聞こえたと書いてありますが、誰がそれを確かめたのか、いつだったのか、詳しいことが分からず、そのため信憑性には疑問があります。)


◎ 教会に通う頻度高いほど高収入=米研究

 米マサチューセッツ工科大学経済学部のジョナサン・グルーバー氏は10月25日、教会に通う頻度が高いほど、世帯所得も高くなるとの研究結果を発表したそうです。同氏はその研究論文のなかで、「教会に通う頻度が倍増すると、9.1%の世帯収入増につながる」とし、「おそらく信仰心が厚い人ほど、日常的な問題でストレスを受けることが少なく、結果として、就職や結婚などの場面で成功しやすいのだろう」との見解も述べているそうです。
外国語サイト リンク http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051026-00000067-reu-int


◎ 一読者の方から「九評共産党ご紹介ありがとうございました。」というメールを受け取りました。一部引用させて下さい。

====引用開始====
 日本語サイト リンク 九評共産党ご紹介ありがとうございました。・・・この本は「中共大使館からの圧力」で、多くの書店やアマゾン・楽天で取り扱いが断られる状態になっていますが、オンライン書店の中ではBK1だけが唯一取り扱っています。
日本語サイト リンク http://www.bk1.co.jp/search/search.asp?kywd=%8B%E3%95%5D%8B%A4%8EY%93%7D&srch=1&Sort=za&submit.x=43&submit.y=9

 台湾前総統の李登輝先生の推薦文はこちら。李登輝先生はカトリックではありませんが、プロテスタントの信者で、新渡戸稲造の武士道の体現者で内村鑑三の信奉者。もちろんその信仰はバリバリの保守で同性愛や中絶なんて論外。
日本語サイト リンク 李登輝・台湾前総統が署名推薦! 『共産党についての九つの論評(九評共産党)』
日本語サイト リンク http://www.epochtimes.jp/jp/2005/11/html/d63066.html

 本を買わなくても無料で読めるHTML版はこちら。
日本語サイト リンク 【公告】大紀元が『九評』(共産党についての九つの論評) と題する一連の社説を発表

 私は今のままではカトリックは中共崩壊後に中国大陸に居場所がなくなると危惧しています。中共との関係改善を求めるカトリック教会内の勢力は、みな共産党シンパであり、北京政府と共産党の存続を前提としたものだからです。これは下手をすれば、共産党崩壊後の中共で、愛国教会を含む自分達がカトリックだと思っている信者たちが逆迫害される原因ともなりかねません。・・・
====引用終了====


◎ 「広東省でカドミウムによる大規模な河川汚染」

 ニュースによると、「中国広東省韶関市を流れる北江で15日ごろ、猛毒のカドミウムを含む精錬所の廃水が大量に流入、下流にある同省英徳市の市民ら10万人以上の飲料水が汚染の危機にさらされている」そうです。

 カドミウムと言うと、イタイイタイ病の原因となるものです。天主の御母聖マリアよ、中国の人々を守り給え!
日本語サイト リンク http://www.sankei.co.jp/news/051221/kok051.htm


◎ 「広東省の汕尾市東洲村で住民が警察の発砲を受け、死傷」

 同じ広東省では強硬な住民弾圧があるそうです。「中国・広東省の汕尾市東洲村で住民が警察の発砲を受け、死傷した事件の様子が、次第に明らかになってきた。16日発売の香港の週刊誌「亜州週刊」が、発電所建設反対運動のリーダーを警察が拘束したことに住民が反発、銃撃に発展したなど事件当日の経過を詳しく報じた。また村民の一人は朝日新聞に対して「今も約60人が行方不明と聞いている」などと証言した。強硬に住民を弾圧した事件は中国政府への信頼を揺るがしている」とのことです。
日本語サイト リンク http://www.asahi.com/paper/international.html
日本語サイト リンク (大紀元) 汕尾東洲虐殺事件続報:負傷した村民(2)=写真報道=

 天主の御母聖マリアよ、中国の人々のために祈り給え!


◎ ジェイコム株誤発注騒動

 日本では、数日前、株の誤発注で数分のうちに数百億円が失われた、或いは10分間で億万長者になった人がありました。

 ところで、もしも私たちが八百屋に行って買い物をして、八百屋の主人がおつりを間違えた、としたら「おじさん、おつりがちょっと多いんですが」と言って返すのではないでしょうか。カトリックの倫理神学によれば、返却しなければなりません。

 八百屋のおじさんが間違えて例えば「ミカン1キロ、500円」を「ミカン500キロ、1円」と書いたら、「あれ、おじさん、これおかしくない?」と尋ねるのではないでしょうか?

 ヨーロッパの言い方に「間違えるのは人間的な業、赦すのは天主的な業、間違いに固執するのは悪魔的な業」というのがあります。お金は、目的ではなく、手段ですから、相手の過ちにつけいって金儲けをしようとするのは悪魔的ではないでしょうか。

 日本の美徳は「庶民の自立性」ではなかったでしょうか。おつりを間違えて渡してしまった、落とし物を見つけた、としたら、そうしなかったとしても誰から叱られるのでもないけれども、自由に、おつりをその人のところに返し、落とし物を届ける、それが日本人にとって普通のことだったのではないでしょうか。

 今回の事件は、誰が見ても誤発注だと分かることですし、当事者も訂正を試みていたのですし、「法は法だ、悪報も法だ」とこの間違いを有効とさせるのは、大局的に不正義になると思われます。


◎ 徳島県の大塚国際美術館

 11月のニュースですが、写真を陶器の板に焼き付ける技術を使い、「モナリザ」など世界の名画約1000点を原寸大で再現・展示している大塚国際美術館(徳島県鳴門市)が11月3日に、今年4月に亡くなった前ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の肖像陶板の除幕式をしたそうです。


◎ “燃料いらず”画期的エンジン

 日本では86歳の研究者 村上栄三郎さんが、ガソリンなどの燃料を必要としない、環境にやさしいエンジンを開発し、注目を集めているそうです。太陽電池などのわずかな電力と、空気圧で駆動する画期的なエンジンとのことです。こんな技術がたくさん開発されると良いですね。
日本語サイト リンク http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051114-00000012-san-bus_all


◎ 「合唱聖歌集 復刻版~Cantate Domino~編者 ヴィンチェンツォ・チマッティ」

 生きている時から「聖人」の噂が高かった、チマッティ神父様ですが、そのチマッティ神父が、1954年、教会の聖歌隊のために編んだラテン語合唱聖歌集に待望の復刻版が登場したそうです。「マニラの eそよ風」322号でも触れましたように、世界中で、そしてローマでも、グレゴリオ聖歌の復活を望む声が高まっています。日本でも「時代を経て、各地のコーラスにおいて手軽に歌えるラテン語の歌曲集を求める声が高まるようになってきた」ので「その期待にこたえてここに復刻されるものであり、チマッティ師自らの曲も12曲収録されている」そうです。
外国語サイト リンク 合唱聖歌集 復刻版 ~Cantate Domino~ 編者ヴィンチェンツォ・チマッティ

ただしその中で、
Jesu Redemptor omnium は、"「救い主」イエズスよ" ではなく、"全ての「贖い主」イエズスよ"
Laetentur coeli は、"天は「歌え」" ではなく、"天は「喜ばんことを」"
Tamaquam Agnus のTamaquamは、2番目の a が無い、Tamquam
Terra tremuit "地は「震える」"は、"地は「震えた」"
En ut superba criminum "見よ、「おごれる罪を」"よりも、"見よ、「数々の罪の傲慢ほど」"
などと訳されるべきではないかと思いました。

 それにしてもこの種の動きが高まっているのは嬉しいことです。

 ドンボスコ社さん、感謝します。


 では、兄弟姉妹の皆様、聖なる良きクリスマスをお迎え下さい。
 聖母の汚れ無き御心よ、我らのために祈り給え!

 天主様の祝福が豊かにありますように!

 トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)