第311号 2005/11/15 教会博士・証聖者司教大聖アルベルトの祝日
アヴェ・マリア!
兄弟姉妹の皆様、
お元気ですか。今日は紀宮さまと黒田さんとのご結婚を祝福し、そのお祝いを心から申し上げたいと思います。子宝に恵まれ末永くお幸せなご家庭を築かれることをお祈り申し上げます。紀宮さまにおかれましても黒田さんにおかれても、いろいろと犠牲や多くの苦しみを乗り越えていかなければならないと思いますが、天主の御助けによって雄々しく乗り越えられますように!
紀宮さまは黒田さんとご結婚するために、天皇家の親族としてとどまりますが、皇族の地位を離れました。黒田さんはそのような高貴な新婦をとても大切にするだろうと思います。
天主三位一体の第二のペルソナである天主の御言葉は、私たちを贖い、救い、天国での私たちと愛による永遠の一致をもたらすために、天主でありながら人間となり、私たちのうちに住まわれ、十字架の苦しみと辱めを受け給いました。私たちと一致するために、御聖体としてパンの外見のもとに真にましまし給います。洗礼を受けた私たちは、かたじけなくも天主イエズス・キリストとの、愛の一致、霊的婚姻の栄誉を受けた身分なのです。私たちと一つになるために、イエズス・キリストは人間となり、御聖体としてとどまり給うのです。私たちはそのように私たちを愛したもうイエズス・キリストに対してどれ程の愛と忠実でお答えしなければならないでしょうか! 私たちの霊魂の最愛の配偶者イエズス・キリストを!
私たちは洗礼を受けたその瞬間、天主の子となったのです。私たちは、天の王国の世継ぎ、天主聖父の愛する子供、天主の家系の高貴な血筋のものとなりました。私たちは天主の御助けにより、全力を尽くし、イエズス・キリストに忠実でありたいと思います。私たちは、天主の家系と血筋の名誉を汚さぬようにする御恵みをひたすらに乞い求めたいと思います。
さてこの祝福されるべき新しいご家庭と、私たち兄弟姉妹の皆様の全ての家庭の祝福を願って、私たちは来る主日(11月20日)は、午前10時半東京の曙町児童会館で聖伝のミサがありますが、同じ場所で午後4時半から、主日の第二晩課をラテン語のグレゴリオ聖歌で、お捧げしたいと思います。それに参加できない兄弟姉妹の皆様も、心を合わせてお祈り下さい。
また11月20日の主日の午後2時半からは、恒例の霊的講話(公教要理)があります。今回のテーマは「十字架の聖ヨハネによる内的生活と観想」とし、十字架の聖ヨハネと聖トマス・アクィナスによる天主との一致、信仰と観想、霊魂の暗闇、偽りの神秘主義などにも触れたいと思っています。午前中の聖伝のミサには事情によって与れないけれども・・・という方でもどうぞ。
愛する兄弟姉妹の皆様、そしてこれから婚姻の秘蹟によって結ばれようと準備をしている兄弟姉妹よ、私たちは、「カトリック家族とその敵について」の続きを黙想しましょう。
今回は(17)カトリック家族の敵: 貞潔に背く罪 (その4)をお届けします。ごゆっくりどうぞ。
聖母の汚れ無き御心よ、日本のために祈り給え!
天主様の祝福が豊かにありますように!
トマス小野田圭志神父(聖ピオ十世会司祭)
カトリック家族とその敵について
----- これから婚姻の秘蹟によって
結ばれようとする兄弟姉妹に -----
(17)カトリック家族の敵: 貞潔に背く罪 (その4)
◆純潔に反する罪に対して天主は忌み憎み給う
私たちは貞潔に反する罪を犯した場合、この世で既に受けるべき罰を見てきた。しかし来世での罰はどれ程に酷かろうか。天主は淫乱の罪を憐れんで下さる、と言ってもよいのか? 聖レミジオは、成人のキリスト者で救われる者はほとんどわずかである、その他は貞潔に反する罪で地獄に堕ちる、と言っている。ファチマの聖母も極めて多くの人々が貞潔に反する罪によって地獄に堕ちると言っている。セニェリ神父は、地獄に堕ちたものの4分の3は不潔の悪徳のためにそうなった、と言っている。純潔に反する罪に対して天主が、どれほど忌み憎んでおられるかは、計ることも出来ないほど大きい。
或る淑女が、自分の食べようとした食事の食器が汚れており、よく洗ってなかったということがありありであるならば、彼女はそれを食べる気がしなくなってしまうだろう。純潔そのものである天主が、不潔の罪によって天主の掟が汚され犯されたとすれば、どれ程それを悲しく思われるだろうか!
天主は純潔を無限の愛で愛される。従って、天主は官能的な猥褻を無限に憎まれる。不潔な人間たちが「たいしたことはない」と呼ぶその罪を天主は重大視する。天使達は傲慢のために地獄に堕ちた。人間たちはその多くが貞潔に反して地獄に堕ちるだろう。貞潔に反する罪のために、多くの家庭は崩壊し、まず子供が、そして妻が犠牲となった。
◆貞潔に背く罪の最中に殺害された青年
次はマイケル・ミュラー神父が伝える実話である。貞潔の模範であった或る若い学生は、よく教会でミサ聖祭に与り、告解の秘蹟を頻繁に受けていた。ある日、彼は教会にミサ聖祭に与りに行くところであった。彼は同級生二名と会い、ミサに行く代わりに喫茶店で朝食を食べようと誘われた。彼は断った。しかし無理矢理に同意を強いられた。朝だというのに同級生はワインを飲み始めた。彼も最初少しだけつきあった。しかしおいしかったのでもう少し飲んだ。それからもう少し。そのうち酔いが回ってきた。そこで彼の目は、或る女性の上に止まった。彼は誘惑に襲われた。彼は彼女と罪を犯し、その真っ最中にナイフを指されて殺害された。彼の二名の友人たちは後にそれを知って、恐れ、世俗を離れ、修道生活に入り、厳しい償いの生活を送った。
◆貞潔に背く罪の最中に死んだ女性
次もマイケル・ミュラー神父が伝える実話である。約六年前に、或る青年がニューヨークのレデンプトール会の修道院にやってきた。青年はこう言った。
「神父様、すぐに告解を聞いて頂けませんか? 私は不幸にしてある若い女性を躓かせてしまいました。彼女は罪の真っ最中に亡くなりました。少し前に彼女は、火に包まれて私に現れ、地獄に堕ちた、おまえのせいで地獄に堕ちた、おまえのせいで永遠に苦しむようになったと言いました。私は全身が震え、恐れで死なんばかりです。」
この女性が受けた罰と同じ罰の例は他にもある。この同じ司祭は、ある日、或る青年が死にそうだと言われ、不潔の罪を犯す商売をする家に呼ばれた。この司祭はその青年を救いに行ったがもう手遅れだった。この不潔な青年はすでに死んでおり天主からの裁きを受けた後だった。彼はまさに罪の瞬間に死んだのだった。同じ罰は、二年前にも、ニュー・イングランド州のある青年グループの上にも課された。彼らがトウモロコシ畑で罪を犯している最中に彼らは死に見舞われ、全員が死んだまま見つかった。
◆聖アルフォンソ・デ・リグオリの伝記に出る、貞潔に背く罪の最中に死んだ女性
ある日、聖ヴィンチェンチオ会の司祭らが、イタリアのフィレンツェの修道院で男性に黙想会を指導していた時のことがあった。その男性はある女性と汚らわしい罪を犯し、彼女は天主と和解する前にこの世を去った。この男性は痛悔し、自分の罪の共犯者を憐れんでほしいと天主にこいねがった。彼女は黙想会の途中で彼に現れこう言った。
「私のために祈らないで下さい。私は地獄に堕ちました。」
そう言ってからこの男性にそれが本当であることを確証するために、男性がその前で跪いて祈っていた机に手を当てて、自分の手で机の上に焼け焦げの跡を付けて姿を消した。この机はナポリに移され、今でもナポリに保存されている。(聖アルフォンソ・デ・リグオリの伝記より)
◆聖アルフォンソ・デ・リグオリの伝える、貞潔に背く罪で死んだ女性
聖アルフォンソ・デ・リグオリは次のような実話を伝えている。ある日若い女性が教会に行こうとしていた。道の途中で彼女は、知人の男性と出会った。彼は彼女に挨拶し、どこに行くのかと彼女に尋ねた。女性は「私は教会にいくところです」と答えた。
青年 「今日は晴れてとっても良い天気じゃないか。太陽はこんなにまぶしく輝いているし。君は、教会にならいつでもいけるじゃないか。一緒においでよ。ちょっと散歩しないかい?」
女性は少し躊躇した。どうしたらよいか迷ったが、その時ちょっとお祈りすれば良かった。しかし祈りをすることを忘れ、ついに男性の招きに同意してしまった。二人は畑を歩き、悪魔は彼らと共に歩いていた。女性はミサのことをすっかり忘れてしまっていた。彼女は、周りに誰もおらず男性と二人っきりでいるということの危険性のことを夢想だにもしなかった。ついに彼女は教会にも行かず家に帰ってきたが、その時には彼女はもはや純潔ではなかった。男性はどこかに姿をくらまし、彼女は彼と二度と会うことがなかった。
家に帰った彼女は、何が起こったのか親に何も言わなかった。親も不審に思わなかった。夕方、彼女は元気をなくした。翌日、彼女の状態は悪化した。隣家の女性が家に入ってきて、母親と共に彼女を見ると、彼女は青ざめていた。彼女はこうささやくように言った。
「お願いだから、神父様をお呼びして下さい。お母さん、私はもう死にそうです。」
母親は急いで近くの司祭館に駆けつけたけれども、あいにく司祭は不在だった。司祭は別の病人の訪問に出ていた。母親は、司祭が戻ってくるのではないかと、あちこち見回してみた。その時、娘は大きな奇声を上げた。母親は枕元に駆けつけた。娘は上体を起こし、顔は真っ青で、目はぎらぎらしていた。
母親 「いったいどうしたの? 何故叫び声をあげたの?」
娘は部屋の片隅を指さしてこう言った。
「お母さん、お母さん、見て、見て! ほらあれが見えない?」
母親 「お母さんには何にも見えないよ。」
娘はおびえて声を上げた。
「お母さんたら! よく見て。あのおっかない黒い人たちを見て。ほら、私のところに近寄ってくる。」
母親は安心させようとしてこう言った。
「大丈夫よ。黒い人たちなんか心配しないで良いから。神父様がすぐ来て下さるし、神父様がその人たちを追い払って下さるから、大丈夫よ。」
母親はそう言って娘を横に寝かせた。
「寝なさい。神父様がすぐいらっしゃいますからね。そうしたらもう心配はいりませんよ。」
母親はもう一度、司祭が来るのを見に行った。すると娘はもう一度叫び声を上げた。
母親は娘の元に飛んでいった。娘は上半身をおこして座っていた。目は二つの火の玉のようにぎらぎらしていた。母親は娘の額にそっと手を当てた。母親は、血液がこめかみにドクドクと脈を打つのを感じた。娘は部屋の片隅をじっと凝視したままである。娘は何も語らない。恐怖でおののいている。突然、娘は発作のように驚いて、母親の方を向いて叫んだ。
「お母さん、お母さん、見て! ほら黒い人たちが私の方に近づいてくる! お母さん、あの人たちは悪魔なんだって、自分でそう言っている。私の地獄に連れて行くんだって!」
娘は、とりとめなく騒ぎだし、自分と罪を犯した男性を呪い始めた。窒息していくかのように娘の顔は黒ずんでいった。そしてついに息を引き取った。彼女は、司祭もなく、罪を犯したまま死んでいった。彼女の霊魂は地獄に持ち運ばれた。
何と恐ろしい死であることか! 天主はこの女性を天国へ行くために創造したのに。彼女は、そのために、天国を勝ち取るために、罪の機会を避け、悪いつきあいを避け、悪い模範を避けるべきだった。彼女に誘惑の時がやってきた。彼女は祈らなかった。彼女は抵抗せずにひょいひょいと同意した。彼女は天主の掟を破った。大罪を犯した。そして告白と悔悛なしに死んだ。もしも彼女が、完全なる痛悔をおこしていたら助かっていたかもしれない。しかし彼女はそうしなかった。彼女は絶望のうちに死んでいった。
◆貞潔に反する罪は決して「小さな悪」などではない
不潔な人々は貞潔に反する罪は小さな悪に過ぎないと言うかもしれない。しかし彼らは死の時、そうは言わないだろう。彼らが死ぬ時、不潔の罪はそれぞれ本当の姿 --- 地獄の怪物の姿 --- を現すからだ。イエズス・キリストが裁きの座について彼らを裁く時、彼らはそうも言っていられなくなるだろう。私たちの主は、ご自分の使徒が既に彼らに言ったことをもう一度彼らに言うだろうから。
「淫行の者、汚れた者、情欲の者はみな---これは偶像崇拝者と同じである---、キリストと天主との国を嗣がない。」(エフェゾ5:5)
生きている間、野獣のように好き放題に生活していた者が、どうして死後天使のように生活できようか。常識が、良心の声が、聖書が、教父が、諸聖人が、そして悪魔でさえも同じことを言う。
「淫行の者、汚れた者、情欲の者はみな---これは偶像崇拝者と同じである---、キリストと天主との国を嗣がない。」
この記事は、
The Sinner's Return To God The Prodigal Son, By: Rev. Michael Mueller, Chapter 1
を参考にしました。
(つづく)