第217号 2004/01/29 童貞殉教者 聖マルティナの祝日
アヴェ・マリア! ■ Q&A 質問です 薬物(ドラッグ)は世界的に、ソフト・ドラッグとハードドラッグに分類されますが、依存度が強いものか、弱いものかの分類だそうです。ちなみに、ヘロイン、コカイン、覚せい剤などはハードドラッグ。マリファナはソフト・ドラッグということになっています。カナダやアメリカの幾つかの州では少量のマリファナ所持は罪にならない法律となったそうですし、オランダではソフト・ドラッグを解禁しているそうです。カナダでは「大学生の9割はマリファナを吸ったことがあり、おとなのバーベキューでもジョイントが回ってくることは珍しくない」そうです。マリファナを吸うことについてどう思いますか。 ■ お答えします。 マリファナとは、
マリファナとは大麻という植物の葉と茎と花を混ぜたものです。大麻とは、学名cannabis sativaカンナビス・サティヴァと呼ばれるクワ科の一年草で、中央アジア原産の植物です。この植物にはTHC(tetrahydrocannabinolテトラヒドロカンナビノール)という成分が含まれており、葉などをあぶってその煙りを吸ったり食べたりすると酩酊感、陶酔感、幻覚作用などがもたらされます。THCはこの植物の花に集中しています。
同じ植物から取られたものでもハシッシュ(Hashish)というタイプは、マリファナの8倍のTHCが含まれています。THCはアルコールと同様に水に溶けないので、血液の中に溶け込まず体内に吸収されたTHCの40%は体の脂肪となって蓄積されます。そして蓄積されたTHCは数週間に掛けてゆっくりと血液の中に流れ出します。(Cf. George Biernson, “Dispelling the Marijuana Myth”)
1970年代以前には、ほとんどのマリファナには1%ほどのTHCしか含まれていませんでした。しかし今日のマリファナ(欧米のほとんど全ての「ポット」(street pot)と呼ばれているもの)は、12-25%のTHCを含有していると言われています。これは、1960年代初頭のマリファナと比べると、一段と危険性を増したものとなっていることになります。 大麻常習乱用者の特徴
http://www.dapc.or.jp/data/taima/3.htm 大麻の精神的影響 大麻を摂取すると、五感に異常が起こり、いつもより感覚が鋭くなったような錯覚に陥ります。その状態には独特の心地好さやリラックス感があり、からだもほぐれるような気分になります。しかしそれは真のリラックスではなく、ただやる気がなくなったり、物事がどうでもよくなる、などの投げやりな気分になっているに過ぎません。 大麻にはそれほどの依存性がないとの誤解から、繰り返し乱用する人も多くみられます。 しかし慢性的な摂取は、徐々に精神に障害を及ぼします。最初は情緒不安や集中力、忍耐力の低下、自発性のなさなどの障害ですが、それらは幻覚や妄想の引きがねとなり、常に朦朧とした意識状態に陥ったり、うつや偏執病的症状が現れたりします。 こうなると、ちょっとした刺激や、もしくはまったく何の理由もなく、突然恐怖にかられたり、錯乱を引き起こしたりもします。また、長期乱用者には知的障害も起こることが報告されており、小学生程度の読み書き、計算しかできなくなるケースもあります。 大麻精神病として次の症状が挙げられます。
http://www.dapc.or.jp/data/taima/3-2.htm 大麻の身体的影響 心拍数が50%も増加し、これが原因となって脳細胞の細胞膜を傷つけるため、さまざまな脳障害、意識障害、幻覚・妄想、記憶力の低下などを引き起こします。また、顕著な知的障害がみられます。 乱用者は再三にわたり、濾過していない大麻の煙をすいこみ、出来るかぎり我慢して息を止めておきますので(こうすることで大麻成分をなるべく多く肺から吸収しようとする)肺などの呼吸器官に障害をもたらします。大麻のタールはタバコのそれよりも50%も多く含まれていますので副鼻腔炎、咽頭炎、気管支炎、肺気腫、などの原因となります。また、大麻の煙には非常に多くの発癌性物質が含まれていますので肺癌なども引き起こします。 肺には弾性があり、そのため、息を吸うときには膨らみ、吐き出すときには縮みます。その働きをする肺胞壁が壊され、十分な空気の出し入れが出来なくなった状態が肺気腫です。肺気腫が進行してくるとちょっとした動作でも息切れを生じ、呼吸困難に陥ります。また心臓に負担がかかるため、肺以外の臓器にも異常を来します。 URL:http://www.dapc.or.jp/data/taima/3-3.htm 最近の研究によると、多くの乱用者はマリファナからヘロインやコカインへとエスカレートしていることが分かっています。しかも、マリファナを使うのが若ければ若いほど、そして多く使えば使うほどコカインやヘロインの乱用で終わっています。マリファナは薬物乱用と依存への入り口となっているのです。さらに311組のオーストラリアの双子の研究から、マリファナがより強度の麻薬へ導く可能性があることを論証した医学記事もあります。(the Journal of the American Medical Association) 国立麻薬管理行政局の局長ジョン・ウォールター氏(John Walters, director of the Office of National Drug Control Policy)は、こう言っています。「アルコールやその他の非合法の麻薬を全て合わせた中毒者たちよりも、マリファナ中毒から抜け出るためのリハビリに来る十代の若者の方が多い(More teens enter rehabilitation centers to treat marijuana addiction than alcohol or all other illegal drugs combined)。」
カトリック教会の教皇庁立保健委員会は「全ての事実を考察すると、カンナビス(大麻)を普通のものと考え、「ソフト・ドラッグ」(依存性のない薬物)であると考えるのは、無責任である(Considering all the facts, it is irresponsible to consider cannabis in a trivial way and to think of it as being a 'soft drug.')。」と結論しました。(Zenit News Service, January 25, 2003. カトリック教会による、モルヒネなどの麻薬性のある薬物の使用に関する判断原則 (1) 人間の身体上の健康を増進させるという充分な理由がないかぎり、麻薬性の薬物を使うことは許されない。これらの薬物は極めて慎重に使用しないかぎり健康に極めて有害であり、更には非常にしばしば廃退した道徳という結果を引き起こす。(Prümmer, Vade Mecum, #504) (2) 麻薬を少量だけ、1回(或いは2回)使うことは、小罪(または罪ではない)が、頻繁に使い、徐々に麻薬を望むようになる場合、非常に重大な理由がないかぎり、大罪である。(Zalba, Summa of Moral Theology, #675,,5) 充分な理由無しに、麻薬をごく少量、単にその時だけ使うことは、小罪である。しかし麻薬に対する恒常的な望みになるような使用は大罪である。麻薬の禁断症状は、アルコールのそれよりも克服が難しく、健康に多大な害を及ぼす。(Jone, Moral Theology, #110) 結論 マリファナは、タバコやカフェインのような「ソフト・ドラッグ」ではありません。(もちろん「ソフト・ドラッグ」だからといってタバコやアルコールに依存するような状態は罪であり、薬物依存に変わりはありません。) マリファナは医学上の薬品ではなく、麻薬性の薬物で、重大な理由があった時に極めて慎重にという条件で、使うことが許されるものです。 マリファナをリクリエーション的に使うことは、重大な医学上の理由がないために、罪です。ごく少量を1回使った時は小罪です。しかし多量を頻繁に使用することは、大きな危険が伴い、自己コントロールを失い、肉の罪への傾向を強め、精神をもうろうとさせるなど、大罪となります。 患者はマリファナの危険性についてよく知らされるべきです。しかし、医学的に正当な健康上の利益がある場合、マリファナを使うことは罪ではありません。しかし「長期にわたって医学上の理由でマリファナを喫煙させることは一般的に勧められるべきではない。安全で効果的な吸引機は、今後10-15年で開発されるだろう」(Institute of Medicine, March 1999)と明言されていることも忘れてはなりません。医学上必要な場合には、マリファナの持つ危険のない、他の合法的な薬を使うのが望ましいと言えます。 文責 トマス小野田圭志神父 (聖ピオ十世会司祭)
兄弟姉妹の皆様、 「童貞聖マリアに対する祈り(聖ピオ十世教皇聖下作)」
天主に嘉せられ、且つ天主の御母となり給いし最も聖なる童貞女よ、
3月と5月の札幌での聖伝のミサは、3月17日、18日と5月4日、5日ですが、場所は変更になりました。札幌コンベンションセンターの隣にある「産業振興センター」で行うことを予定しています。訂正してお詫び申し上げます。
至聖なるイエズスの聖心よ、我らを憐れみ給え、 文責:トマス小野田圭志神父 (聖ピオ十世会司祭) |