マニラのeそよ風

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第146号 2003/05/21

聖ピオ十世会・米国、カンサス州
聖ピオ十世会・米国、カンサス州

Non praesumat aliquis Deum se habere propitium
qui benedictam Matrem offensam habuerit:
天主の御母を侮辱する者は、だれ一人として
自分が天主の心に適うものだと自惚れないように。

アヴェ・マリア!

兄弟の皆様、
 今日も「童貞聖マリアに対するまことの信心」の続きをお読み下さい。


童貞聖マリアに対するまことの信心


19. イエズス・キリストのご生涯の事跡をたんねんに調べていくと、イエズスがマリアを通して数々の奇跡をおこない始めるのを望まれたことが分かる。イエズスは、マリアの言葉を通して、先駆者ヨハネをその母エリザベトの胎内で聖化した。マリアが、あいさつの言葉を述べるとすぐヨハネは聖化された。これはその最初の極めて偉大な聖寵の奇跡である(ルカ1・41)。イエズスはカナの結婚披露宴で、マリアの謙遜な願いによって、水をぶどう酒に変えた。これはその最初の自然界の奇跡である(ヨハネ2・1~12)。イエズスはマリアを通して、ご自分の奇跡をおこない始め、おこない続けられた。主は世界終末にいたるまでマリアを通して奇跡をおこない続けるだろう。


20. 天主である聖霊は、天主おいては何も生み出さない、すなわち、他のいかなる天主的ペルソナも生み出さない。ところが、聖霊の浄配マリアを通して生むようになった。聖霊は、マリアとともに、マリアにおいて、マリアから、その傑作である人となられた天主を生み出した。そして世の終わりまで毎日、天国に予定された人びとを、キリストの神秘体の成員を生み出す。従って聖霊は、ご自分の愛する、不解消の絆で結ばれている浄配マリアを霊魂の中に見いだせば見いだすほど、ますますこの霊魂の中にイエズス・キリス卜を生み出すように、またこの霊魂をイエズス・キリストの中に生み出すようにさかんになる強力になる。


21. これはいとも聖なる童貞マリアが、聖霊に、あたかも聖霊が以前に持たなかった産み育てる力をはじめて与えた、ということではない。何故なら聖霊は天主なので、他のいかなる天主的ペルソナをも生み出さず、この豊饒力を現実に行使しないとしても、聖父や聖子のように豊饒力つまり産む能力を持っている。そうではなく、聖霊にはマリアが絶対に必要だったわけではないが、ただマリアを使うことを望み、聖霊が童貞マリアの仲だちにより、マリアにおいてマリアを通してイエズス・キリストとその神秘体の成員を生み出し、聖霊の豊饒力を現実に行使した、ということを言わんとしているのである。これは、キリスト者の大学者や霊性の大家にも知られていない聖寵の玄義である。


(第一章 「私たちがいとも聖なる童貞への信心を持つ必要性」、第二節 「天主は、いとも聖なる童貞マリアを通してその偉大なる御業を始め完成しようと望まれた」より)


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