第129号 2003/05/01 勤労者 聖ヨゼフの祝日
アヴェ・マリア!
兄弟の皆様、 トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭) 童貞聖マリアに対するまことの信心1. 童貞聖マリアによってこそ、イエズス・キリストはこの世に来られた。おなじく童貞聖マリアによってこそ、イエズス・キリストは、この世において君臨しなければならない。 2. マリアは御生涯の間非常に隠されていた。そのため、聖霊からも教会からも“アルマ・マーテル”すなわち“隠れた秘密の母”と呼ばれている。聖母のご謙遜はあまりにも深く、聖母は天主だけに知られるため自身からも全被造物からもまったく隠れること以外、非常に力強く非常に継続的な関心はこの地上に全くなかった。 3. 天主は、聖母がなした自分を隠し、貧しくし、卑しめて下さるようにとの願いを聞き入れるために、ほとんど全ての人の目から、童貞聖マリアの御受胎の時も、御誕生の時も、御生涯においても、聖母の玄義においても、御復活の時も、被昇天の時も聖母を喜んでお隠しになった。聖母の両親さえも、童貞聖マリアを知らなかった。天使たちもしばしば互いに自問自答し合った。「Quae est ista? 彼女は誰なのか?」(雅歌3・6)何故ならいと高きものが童貞聖マリアを彼らから隠していたからだ。或いは、もしも童貞聖マリアの何かを彼らに明らかにしたとしたら、無限にもっと多くのことを彼らに隠しておられた。 4. 天主御父は、彼女が御生涯の間、すくなくとも人目をひくような奇跡を一度も行なわないことに同意した。天主御父は聖母にそれを行なう力を与えていたにもかかわらず。天主御子も、童貞聖マリアに、ご自分の天主的知恵を与えていたにもかかわらず、聖母がほとんど話さないことに同意した。天主なる聖霊も、使徒や聖福音書記者らが、童貞聖マリアにかんしては、ほんのわずか、イエズス・キリストを知らせるため必要なだけを話すことに同意した。童貞聖マリアが聖霊の忠実な浄配(=花嫁)であったにもかかわらず。 5. 童貞聖マリアは、いと高きものの最高傑作である。天主は、童貞聖マリアを知り所有することを独占している。マリアは天主の御子の感嘆すべき母である。天主の御子は、心の中では、全ての天使、全ての人にもまして、童貞聖マリアを尊敬し愛していたにもかかわらず、聖母の謙遜をますます助けるため、生涯にわたって彼女を卑しめ隠すことを喜ばれ、彼女を“女よ”(ヨハネ2・4/19・26)とまるで赤の他人のような呼び方であしらった。童貞聖マリアは聖霊の「閉じた泉」(雅歌4・12)でありいとも忠実な花嫁である。聖霊だけがそこに入ることが出来る。童貞聖マリアは、聖三位一体の至聖所でありいこいの場である。そこで天主は宇宙の他のいかなる場においてよりも、ケルビムやセラフィムの上におけるお住まいも例外ではなく、より素晴らしく天主的でおられる。大きな特権が与えられない限り、どんな被造物も、たとえそれが純潔であったとしても、そこに入ることは許されない。 (第一章 「私たちがいとも聖なる童貞への信心を持つ必要性」、第一節 「マリアに対する信心の必要性」より) |