マニラのeそよ風

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第101号 2003/03/27


アヴェ・マリア!

 兄弟の皆様、戦争と悲しみと苦しみだらけのこの世のむなしさを黙想しましょう。

 世間は、僅かなはかない物しか約束しないのに、人は、世間に奉仕します。天主は最高の永遠の善を約束する。それなのに人はこれを無視します。

 僅かな物をもうけるために、人は長くきつい仕事もいといません。人は、卑しいもうけをしきりに探し求め、時にはたった一枚の金のために争って恥じません。軍人は祖国のために命を投げ出します。空しいことや、とるに足らぬ約束のために、ひるも夜も労苦に甘んじる。

 しかし永遠の生命のためなら、人は、一歩さえもふみ出すのをしぶるのです。かけがえのない善をえるために、比類ないむくいのために、最高の名誉のために、限りない光栄のためには、私たちは、わずかな骨折りさえいとうのです。

 四旬節の黙想として「キリストに倣いて」を再びどうぞ。

トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭)


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四旬節の黙想 「キリストにならいて」


 「子よ、私の言葉をきけ。あらゆる哲学者、知恵者にまさる甘美な言葉である。私の言葉は霊と生命である(ヨハネ6・64)。それは、人知ではかれず、空しいうぬぼれの源にはならず、ただ沈黙のうちに、ふかい謙遜と大きな愛とをもって、聞かねばならないものである」

 私はいった。「主よ、掟について、あなたから、照らされ教えられる者はしあわせです。かれには、苦しみの日を和らげ、この世でも、なぐさめをお与えになるのですから」(詩篇93・12)と。

 主はおおせられる。「私ははじめから預言者に教え、今もたえず、すべての人に語っている。しかし、私の声に耳をとじ、耳をかそうとしない人が多い。人は、天主よりも、むしろこの世のことに耳をかす。天主の御旨にしたがうよりも、肉にかたむき、それにしたがおうとする。世間は、僅かなはかない物しか約束しないのに、人々は、営々として世間に奉仕する。私は最高の永遠の善を約束する。それなのに人間の心は動じない。この世と、そのあるじに奉仕するのと同様な勤勉さで、私に奉仕し、私に服従する者があろうか。『シドンよ、恥じ入れよ、と海はいう』(イザヤ23・4)。なぜそうなるかといえば、こうである。僅かな物をもうけるために、人は長い旅もいとわない。しかし永遠の生命のためなら、一歩さえもふみ出すのをしぶる。人は、卑しいもうけをしきりに探し求め、時にはたった一枚の金のために争って恥じない。空しいことや、とるに足らぬ約束のために、ひるも夜も労苦に甘んじる。ああしかし、遺憾ながら、かけがえのない善をえるために、比類ないむくいのために、最高の名誉のために、限りない光栄のためには、わずかな骨折りさえいとう。

 怠惰な、不平家の下僕よ、恥じよ。世の人が、ほろびの道にまっしぐらにつき進むより、そう、それよりもなまぬるく、あなたが永遠の生命に向けて、歩きつづけていることを。あなたが、真理をよろこびとする以上に、かれらはむなしいものに歓喜する。ともあれ、世の人々の希望はしばしば裏切られるが、私の約束は、誰をもあざむかず、私に信頼するものになぐさめを与えずに帰すことはない。私は約束したものを必ず与える。いったことを必ず実行する。もし人がさいごまで私を愛し続けるなら、私は、善人すべてにむくい、敬虔な人にむくい、厳しい試練を与える。

 私の言葉をあなたの心に書き記せ。そして黙想せよ。試練の時になれば、それを必要とするからである。いま読んで理解できないことも、私があなたを訪れる時、理解するだろう。常に私はえらんだ者を二様に訪問する。一つは試練、一つはなぐさめである。そして、日々、この人々に、二つの訓戒を行う。悪をとがめること。徳をすすめること。これである。

 私の言葉を聞いて、それを行おうとしない者は、最後の日に、きびしくさばかれる(ヨハネ12・48)」

 「主なる天主よ、あなたは私のすべてです。しかしあなたにあえて話しかけるこの私は、何者でしょうか?私は、あなたの下僕の中でも、最も貧しいみじめなうじ虫にすぎません。言葉でそういう以上の、みじめな卑しい者です。主よ、私は無です。何一つ持たず、一顧を与えられる値打もない者です。あなただけが、よい、聖い、正しいお方です。あなたには何事も出来、何者も拒まず、すべてをみたすことがおできになります。ただ罪人だけが御前から退けられます。『主よ、お忘れ下さるな、あなたの慈悲を』(詩篇24・6)あなたは、御業の実がみのることをのぞんでおられます。恵みをもって、私を満して下さい。

 あなたの慈悲と恵みとの慰めがなくて、この悲しい世を、どうして私が生きられましょう。主よ、御顔をそむけないで下さい、訪れの時を延ばさず、慰めを取り上げないで下さい、そうでないと私は『荒れた土のようになる』(詩篇142・6)でしょう。主よ、あなたの御旨を行い、へり下って正しく生きる方法を教えて下さい。あなただけが、知恵そのものです。あなたは、この世が創造され、私が生を受けるより先に、私のことをご存じでした」

(「キリストに倣いて」第3巻第3章より)


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