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第15号 2002/07/08   聖エリザベトの祝日

聖エリザベト
聖エリザベト

アヴェ・マリア!

■ 質問です

提案いたします。

 今日のカトリック教会はまさに混乱状態にあります。小教区によっては聖母子像や聖人像が破壊されたり、倉庫の中に放置されたり、聖遺物が大切にされなかったり、聖母やイエズスを描いた絵画が焼却されたり、カトリック聖歌集や公教会祈祷文が焼却されたりといった異常な事態が発生しています。また、ミサをイベント化したり、祈りや霊性、信心を軽視するようなこと及び典礼破壊も酷いものです。司祭や司教、一部の信者においては政治運動顔負けのことを市民運動と名乗って行い、それが福音宣教だと思い込んでいる始末です。一体、日本におけるカトリック教会の祈り、霊性、信心を大切にし、典礼を大切にする伝統はどこに行ってしまったのでしょうか。本当に情けない限りです。聖体を軽く扱う司祭や秘蹟を軽視し、聖伝や教父的伝統などどうでもいいという司祭まで現れる始末です。本当に末期的状態と言わなければなりません。ミサにしてもカトリック信徒の中で心ある人々や司祭は聖伝のミサへの回帰を願っています。また、あたかも今日のカトリック教会においては聖伝のミサは禁止されているという誤謬に満ちた宣伝をする人間まで出たり、ローマからの自立などというおかしなことを言う人間まで出ています。一日も早くピオ10世会が使徒座と和解に至ることを願っています。そしてピオ10世会が教会に復帰し、正統信仰の回復と教会共同体の秩序の再建をして頂きたいと思っています。また、現代の進歩主義の誤謬に陥っているカトリック神学者たちとの公開討論などを試みられたら如何でしょうか。議論と批判、そして建設的問題提起なしに黙っているだけでは理解できない人々もいると思われます。

(2002年6月9日付け 掲示板の書き込みから)


■ お答えします

 ご提案をありがとうございます。心から感謝して拝見させて頂きました。

 私どもも、今日のカトリック教会の混乱状態を大変悲しく思っております。そして今回ご指摘して下さったいろいろなことは、現実に私どもの目の前で起こっており、信じられないくらいです。「末期的状態」という表現は当たっているかも知れません。

 聖ピオ十世会は、カトリック信者の皆様に次の最も基本的な原則を確認することを提案したいと思います。まず第1に、私たちはローマカトリック信者であります。私たちはあくまでもローマカトリック信者としてとどまりたいと願い、望み、祈っています。

 では、どうすればローマカトリック信者であることが出来るのでしょうか? それは、信仰です。

 聖パウロはこう言います。信仰なしには天主に嘉されることは出来ない、と。

 第1バチカン公会議は、こう言います。
 正しい信仰なしに、聖寵の状態を保つことは出来ない、
 正統な信仰なしに、諸聖人の通功を享受することが出来ず、天国に行くことが出来ない、と。

 私たちは、カトリック信者であるために、カトリック信仰を保たなければなりません。

 たとえ、天からの天使であれ、枢機卿様であれ、司教様であれ、神父様であれ、カトリック信仰を攻撃するものがあれば、これに抵抗しなければなりません。

 そして、現在の教会の大混乱の末期的な状態は、カトリック教会内部でカトリック信仰を攻撃する人がいると言うことです。カトリック信仰を守らなければならない人々が、信仰を攻撃していると言うことです。

 また「カトリック教会においては聖伝のミサはあたかも禁止されているかのように誤謬に満ちた宣伝をする人びと」もいます。聖伝のミサは、カトリック教会のものです。聖伝のミサは、私たちの先祖や諸聖人たちが与ってきた信仰の遺産です。聖伝のミサは、永久に有効であると聖ピオ5世が荘厳に聖別したものです。聖伝のミサは聖ピオ十世会という特別の修道会だけのものであってはなりません。一地方の司教様の恣意的な判断で許されたり、禁止されたり出来るものではないはずです。聖伝のミサは、カトリック教会の宝だからです。

 2001年2月12日、ローマはカストゥリヨン・ホヨス枢機卿を通してフレー司教にこう言いました。

 「教皇様は『聖伝のミサが一度も廃止されたことがなかったこと、そして、どの司祭も合法的に自由に聖伝のミサを立てることができること』を発表することに同意しました。ラッチンガー枢機卿もメディナ枢機卿もソダノ枢機卿も私(カストゥリヨン・ホヨス枢機卿)も皆全員賛成しました。しかし、この枢機卿の元で働く秘書官たちがこれに反対しているので、このことを発表することが出来ません。」と。

 教皇様が良いと言ったら、その下で働く人々はその通りにしなければならないのではないでしょうか? ローマ聖座で誰が一体一番偉いのでしょうか? ローマは信仰のためにあるのであって、パワーポリティクスのためにあるのではないはずです。

 フレー司教はある枢機卿から次の事実があったのを聞きました。ラッチンガー枢機卿はカスパールが枢機卿に任命されようとする時、教皇様に会いに行ってこう言ったそうです。「教皇様、カスパールは異端者です」と。

 また、フレー司教はレーマン枢機卿の任命についても、カストゥリヨン・ホヨス枢機卿から次のことも聞きました。「もしローマがドイツ人枢機卿を任命しなかったら、ドイツは教会を離れてしまっていただろう。だから私たちがコントロールできる悪者がバチカンにいた方が、ローマのコントロールの及ばないドイツにいるよりも善いと考えたのです。」

 カスパール枢機卿もレーマン枢機卿も、ラッチンガー枢機卿に言わせればバチカンにいる2匹のオオカミです。

 この枢機卿の任命があて数週間の後に、ある司教様は教皇様と食事を共にしました。その教皇様と共にテーブルに着いた司教様は、フレー司教に次のことを教えてくれました。教皇様はその司教様にその時こう言ったそうです。これはフレー司教が直接その司教様から聞いた言葉です。

 「私(教皇)はドイツ人枢機卿の任命について非常に多くの批判を受けました。何故そんなに批判があるのか私には分かりません!」

 教皇様には、何故批判があったのかがお分かりにならなかったのです!

> 一日も早くピオ10世会が使徒座と和解に至ることを願っています。
> そしてピオ10世会が教会に復帰し、正統信仰の回復と教会共同体の
> 秩序の再建をして頂きたいと思っています。

 ありがとうございます。そうですね、問題は本当に深いところにあって、「破門」のレッテルの問題ではないのだと思います。私たちは人間的な手段によるだけでは、この現代の問題を解決することは出来ないと思います。聖ピオ十世会のレッテルが変わったからと言って、カトリック教会の問題が変わるとは思えません。

 数年前、ラッチンガー枢機卿にこう質問した人がいます。「あなたはどれほどの権力を持っているのですか?」

 ラッチンガー枢機卿はこう答えました。「ほとんどありません。」
 ラッチンガー枢機卿の最新の本の中ではこう言っています。
 「権威というものの概念すらなくなってしまった」と。

 いま、カトリック教会は非常に危険な状況にあります。末期的な状況です。死に瀕しています。アイルランドにおける修道者の数は2000年の年鑑によると、1万人の男子修道者がいるそうですが、修練院には4名しかいません。つまり、もう行く先は目に見えているということです。

 修道女は3万2千人です。修練院には150名しかいません。150名の修道女が3万人のどれほどの足しになると言うのでしょうか? もう終わりです。フランスでは2005年には司祭の数が1万7千名から8千名に激減します。つまり3年後には半分以下になると言うことです。アメリカ合衆国では、活動できる司祭の数が4割に減るとのことです。カトリック教会はこのような悲劇的な危機をかつて見たことがありません。

 聖ピオ十世会は2000年にローマ巡礼を行いました。その第3日目に、聖ピオ十世会の司教たちはカストゥリヨン・ホヨス枢機卿に招かれて枢機卿のマンションで共に食事をしました。カストゥリヨン・ホヨス枢機卿は「私はうれしく思います。実り(聖ピオ十世会のローマ巡礼のこと)は良いので、そこに聖霊がおられます。」と言いました。

 私たちはですから同じことを変えずに続けていくだけです。非常に簡単で単純なことです。そのまま変えずに続けること、これです。ローマはついにこう言うでしょう。「うれしく思います。聖ピオ十世会の実りは良いので、そこに聖霊がおられます。私たちもそうしなければなりません。全カトリック教会は聖伝に戻らなければなりません」と。

 ローマで働いている方々の中にはフレー司教にこう言って懇願しています。「ギブアップしないで下さい。続けて下さい。頑張って下さい!」と。

 ローマが現代の問題に気が付くまで、天主の御助けを持って、聖ピオ十世会はカトリック教会が不可謬的に教えてきた教えをそのまま保持したいと思います。そうですね。聖ピオ十世会は怠け者であってはなりませんね。聖ピオ十世会は、多くのカトリック信者の方々や神父様がたが教会内部の問題をご理解して下さるように働かなければなりませんね。「現代の進歩主義の誤謬に陥っているカトリック神学者たちとの公開討論など」は面白い試みですね。おっしゃるとおり「議論と批判、そして建設的問題提起なしに黙っているだけでは理解できない人々もいる」と私も思います。


 これからも、ご支援とお祈りをお願い申し上げます。

 天主様の祝福が豊かにありますように!

トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭)
ニューマニラにて