マニラのeそよ風

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第377号 2006/11/26 聖霊降臨後最終主日


アヴェ・マリア!

 愛する兄弟姉妹の皆様、お元気ですか?

 12月3日は日本の大恩人である聖フランシスコ・ザベリオの祝日です。

 つづけて元仙台司教の浦川和三郎司教様の『祝祭日の説教集』の中に掲載されていた「聖フランシスコ、ザベリオに対する九日修行」第三日をご紹介します。


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祝祭日の説教集

浦川和三郎(1876~1955)著

(仙台教区司教、長崎神学校長 歴任)

聖フランシスコ、ザベリオに対する九日修行

(第三日)  聖フランシスコ神を愛し其の光栄(みさかえ)を揚ぐるに熱中し給う

 聖フランシスコ、ザベリオが、神に対する愛熱に胸は一杯となり・・・、時には満面赫々として宛然(さながら)火中に在るが如き観を呈せしは、屡(しばしば)、人の見る所でありました。其の愛熱の盛んなるや、炎々として外に迸り出で、抑えんとして抑うる能はず、眠った時ですら、大声を揚げて「嗚呼至聖なる三位一体よ、吾イエズスよ、嗚呼吾(わが)心の愛なるイエズスよ」と叫び給うのを聴くことも往々ありました。聖人は人が神に背くを見る時、それを何よりも痛ましく感じ給い、神の光栄の為には鮮血(ちしお)をも流したいと熱望し給うのでした。嘗(かつ)て黙示を蒙り、他日、印度、日本に於いて具(つぶさ)に辛酸を嘗め尽くすべきことを知り給うや、それだけに満足し能はず「増し給え、主よ、増し給え」と叫ばれた位であります。抑も聖人の愛徳はただに濃厚なる感情のみに止まるのでなく、その計画せし所、その断行せし所は、以って其の活動力の如何に大なりしかを示して余りあるのでした。初めイタリヤ、ポルトガルに伝道して効果大いに見るべきものがあり、後印度宣教の命を拝するや、直ちに去りて茫々たる大洋を横ぎり、万里の波濤を踰(こ)えてアジアの邊陲(へんすい)を極め、当時なを世の人の知らなかった邦土(くに)え踏み入られました。其の行程は三たび地球を周るに余りある程で、終には我日本にまで福音を宣べ、四万に余る偶像を毀ち、手づから幾万の偶像教者に洗礼を施し、三百有余の州郡に真の神を礼拝せしめ給うた。其の間に嘗め給うた艱難苦労は筆舌の能く尽す所に非ず、危険を踏み、死地を冒し、如何なる困苦欠乏をも物ともせず、天主にたいする愛熱の快力もて万事を切り抜け給うた。実に何と云う大きい熱烈な奮発心でしょう? 然し聖人はそれにも満足し給わず、更に支那に入り、韃靼(だったん)を踰(こ)え、道を北方に取り、先づヨーロッパに帰りて背教の徒を帰正せしめ、ヨーロッパ州の風俗を改良した上で、再びアフリカに渡り、アジアに進み、新しき邦土を発見して之を耶蘇基督に帰服せしめようとの一大計画を心中に立てゝ居られました。天主様を愛する人は、布教にも熱心なること実に斯くの如しであります。


反省 ―

一、 聖人の活動止むなき奮発心を以って、之を私の冷淡無関心に比べたら、如何して顔を赧(あか)らめずに居られましょう。

二、 私は二者必ず其の一つを選ばねばならぬ、此の世で天主様を愛し、人にも愛せしめて、後日その御光栄(みさかえ)を歌い喜ぶか、或いは天主様を愛せず、人の為にも活動せず、後で永遠に天主様より厭嫌はれるかである、恐れて恐れずに居られましょうか。

三、 されば今の中に熱く天主様を愛し、其の御光栄の為に働き、以って罪悪の増長を防ぎ、善徳の進歩を図りましょう。是れ取りも直さず愛徳行為で、誰しも果たさねばならぬ重大な義務であります。


祈願 ―

 嗚呼吾が心の神なる主よ、私は主を愛することの薄くして、主に事え奉るに忠実ならざることを思い、慙愧(ざんき)の至りに堪えません。主は数限りなき御恩(おめぐみ)を浴びせ給い、なお此の後も浴びせんと約束し給うのに、私は何うしてその御志に感じないのでしょう。主よ、私は此の後いよいよ主を愛し、ただ主をのみ愛せんと決心しました。今日よりこの決心を実行いたします。何うぞ私の弱きを扶(たす)け給え、アメン。

(続く)