マニラのeそよ風

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第145号 2003/05/18 御復活後第4主日

アヴェ・マリア!

兄弟の皆様、
 今日は「童貞聖マリアに対するまことの信心」の続きをお読み下さい。

トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭)


童貞聖マリアに対するまことの信心


17. 天主なる聖父は、ご自分の聖子とその神秘体の全ての成員を産み出す力をマリアにお与えになるため、マリアに被造物として受けることが可能な限り、ご自分の産み育てる力を与え給うた。


18. 天主なる聖子は、新しいアダムがその地上の楽園に来るかのように、そこで思う存分楽しみ、また恩寵の不思議なみわざを隠れて行うために、マリアの童貞の胎におくだりになった。人となられたこの天主は、マリアのご胎に閉じ込められることにおいて、ご自分の自由を見いだした。主は、この小さき少女マリアによって持ち運ばれることにおいて、ご自分の力を顕わにされた。主は、ご自分の輝きをただマリアにだけ示すため、それを地上では他の全ての被造物の目から隠すことにおいて、ご自分の栄光と聖父の栄光をともに見いだした。

 主は、ご自分の聖母の胎内にお宿りになった時、降誕の時、神殿への奉献の時、三十年間の隠れた私生活の時、いとも愛すべき童貞マリアに従属することにおいて、その独立性と御稜威に栄光を与えた。これは、ご死去の時にいたるまで、つまりちょうどかつて父アブラハムが天主の御旨へ同意したことよってイサクがそうであったように、マリアが永遠の聖父に同意することによって、主は屠られるために、マリアの付き添いがなければならなかったそのご死去の時にいたるまで、そうである。マリアこそ、幼子イエズスに、乳房をふくませ、養い育て、世話し、成長させ、ついに私たちのためにいけにえとしてくださった。

 ああ、感嘆すべきも、人知の理解を超える天主の従属よ。聖霊は、人となられた永遠の知恵(=イエズス・キリスト)が人目に隠れた三十年の私生活のあいだになさった、ほとんど全ての賛嘆すべき事を、ことごとく私たちの目から隠したにもかかわらず、これについては福音において沈黙を守ることができなかった(ルカ2・51)。それは、その無限の値と栄光を私たちに示すためである。

 イエズス・キリストは、人目を見はらせるような奇跡によって、全世界を回心させ、それによって天主なる聖父の栄光を現わしたことよりも、三十年のあいだ、ご自分の聖母に服従したことによって、はるかに大きな栄光を聖父にあたえた。私たちも、唯一の模範であるイエズス・キリストにならって、天主を喜ばせる為、マリアに自分を服従させる時、ああ、どれほど偉大な栄光を天主に帰すことか!


(第一章 「私たちがいとも聖なる童貞への信心を持つ必要性」、第二節 「天主は、いとも聖なる童貞マリアを通してその偉大なる御業を始め完成しようと望まれた」 より)


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