マニラのeそよ風

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第122号 2003/04/24 御復活の木曜日


アヴェ・マリア!

兄弟の皆様、
 今回は、DICI 72号からの抜粋をどうぞ。

トマス小野田圭志 (聖ピオ十世会司祭)


世界の教会

■ 司教たちは、南北米におけるカトリック教会の衰退を確認する

 「南北アメリカのカトリック教会は、全体的に衰退している。」 これが2月25日から3月1日までマイアミで開催されたカナダ・アメリカ合衆国・ラテン・アメリカの司教会議の代表者たちの集まりで発表された苦い報告でした。

 カナダ、特にケベックが一番その影響を受けたところでした。

 カナダでは、カトリック教会は、1960年代に突然の衰退を経験し、それから全く回復していません。今日では、40歳以下の信者の宗教生活はほとんど無いに等しく、国家も世論も教会を全く無視しています。カトリック校への国家予算の援助を止めた州もあります。昨年には、非キリスト信者の感情を傷つけないために「クリスマス・ツリー」と呼ぶ代わりに「ホリデー・ツリー(冬休み・ツリー)」と呼ぶようにする運動も始まりました。

 かつてカトリックであったケベックでは第2バチカン公会議後の道徳的な退廃は目を覆うものがあります。昨年の夏にトロントで開催された「国際青年の日」は、カトリック信仰から全く離れているという現実を見せるものに過ぎませんでした。

 アメリカ合衆国では、人口の半分が自分の信じている宗教を持っていません。ラテン・アメリカからの移民のために、カトリック教会はかなりの教勢を保っていますが、教会の教えは弱々しい影響力しか及ぼしていません。少なくとも2組のうち1組の結婚は離婚で終わっています。

 ラテン・アメリカ諸国でも、司教様たちは信者たちが教区の信仰生活からますます遠ざかっているのを見ています。ますます多くの受洗者たちは、自分のやり方で宗教生活を送っているということを司教様たちは嘆いています。それに引き替え、ニュー・エイジや福音派の新興宗教は、ますます成功を収めています。

 司教様たちが、この厳しい現実を目の当たりにして、どうしても避けることの出来ない教訓を得て下さることを期待していたのですが、今回も、この衰退の原因を教会の外に求めるばかりでした。司教様たちが「現代伝えられているそのような信仰は、なぜ霊魂を熱心にさせないのか?」という疑問を抱いて下さる日が来るのは、いつなのでしょうか?

 「教会は世間一般の流れに対抗し、一般社会(しばしば世俗と呼ばれた)の諸現実との接点が見失われていく結果となった」「教会は現実と乖離してきた」などと教会の過去を批判すれば批判するほど、一般社会の流れに自分を合わせ、「世界の諸現実に向かって開かれた教会」になろうとすればするほど、一般社会はカトリック教会をますます無視している結果になっているのです。塩がその味を失ってしまえば、外に投げ捨てられて踏まれるのは当然と言えば当然ではないでしょうか。